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もっさりシナリオブログ

もけの脚本・シナリオ等創作置き場(無断転載不可)

非常口は開かない@非常口

人物

森田一郎(21)大学生

一ノ瀬良平(21)大学生・森田の友人

平野優子(27)OL

秋山夏紀(30)ショッピングモール7階店員

大里孝明(64)無職

大里しずえ(60)主婦・大里の妻

 

 

〇ショッピングモール・7階非常口付近

   非常口のライトがチカチカと点滅している。

   森田一郎(21)を先頭に秋山夏紀(30)一ノ瀬良平(21)が走ってくる。

   遅れて平野優子(27)大里孝明(64)最後に大里しずえ(60)が

   息を切らせながら非常口にたどり着く。

 夏紀「ここが非常口です。今開けますね」

   非常口なぜか開かない。

 夏紀「あれ?開かない?」

優子「こんな時に非常口が故障?」

夏紀「おかしいですね。ここを引くと開くはずなのですが…」

   夏紀がもう一度非常口を開けようとするとが開かない。

 森田「僕も引いてみましょうか?」

 一ノ瀬「あ、俺も手伝うよ」

 大里「みんなでやりましょう」

   全員非常口の前に立つ。

 夏紀「せーの」

 森田「よいしょっ」

    非常口、びくともしない。

 一ノ瀬「開かないですね。何か挟まってるんじゃないですか?」

 優子「というか突然すぎて私…何があったのかよくわからないんですけど…」

 大里「すみません。突然皆さんを連れ出して…さっき店内の隅で妙な鞄を見つけて…

 誰のかなと思って開けてみたら、なんだか変な機械が入っていて…

 あれはおそらく… 爆弾です」

   全員息をのむ。

 森田「…爆弾…ですか?」

    大里の隣りのしずえが首をかしげる。

 優子「(しずえに)あの、あなたも見たんですか?」

 しずえ「いえ、私は見ていないんです。この人が突然騒ぎ始めてとにかく逃げようって

 言うから…そしたら(夏紀をちらりと見て)こちらの店員さんが非常口まで案内して

 くださって…(大里に)本当に爆弾なの?何かと勘違いしたんじゃない?」

 大里「本当だよ。見たんだ」

 一ノ瀬「(森田に小声で)本当なのか怪しいな」

   森田、無言でうなずく。

 森田「もし本当なら他の人はどうなったんでしょう。

 僕たちは夢中でその場から逃げてきたけど…みんな避難してないんじゃ…」

 大里「さあ…たまたま近くにいた君たちに声をかけるのが精一杯だったもので」

 優子「結局何があったのかよくわからないですね」

 一ノ瀬「信憑性もないし」

 夏紀「ではちょっと私がフロアの様子を見て参ります」

 大里「危ないぞ。どこに爆弾が仕掛けられているか…

 もしかするとテロリストがいるかもしれない!」

 夏紀「(にっこり笑って)大丈夫です。注意して調べますので」

   夏紀フロアの様子を見に行く。

 優子「本当に大丈夫かな?」

 一ノ瀬「俺一緒に行った方が良かったかな」

 森田「うーんどうだろう。

 でもお前が一緒より店員さん一人の方が動きやすいんじゃないか?」

 一ノ瀬「俺はお荷物ってか?」

 森田「そういう意味じゃなくて…」

   夏紀戻ってくる。

 夏紀「今店内でその妙な鞄を探してみました。

 確かに鞄はありましたが、お客様がおっしゃってるような爆弾は

 入っておりませんでした。

 テロリストもいません。混乱を避けるため、

 他のお客様にはお伝えしておりませんが、本当に何も問題ないようです」

    一同報告に安堵するが一人納得いかない様子の大里。

 大里「じゃあ、あれはなんだったんだ!」

しずえ「やっぱり何かと見間違えたんじゃないの?」

 大里「でも見たんだ!爆弾のような物を…」

 一ノ瀬「あの、爆弾のような物って…爆弾、見た事あるんですか?」

 大里「いや、本物は見た事はない、テレビで何度か…」

   全員ため息をつく。

 大里「本当にただならぬ雰囲気があったんだ」

 しずえ「その勘違いのために皆さんに迷惑かけたんじゃない!ちゃんと謝ってよ!」

 優子「本当に爆弾は入ってなかったんですよね?

 テロリストもいなかったんですよね?」

 夏紀「ええ、いつも通りの店内です」

 一ノ瀬「本当、お騒がせだよなあ」

 森田「いや、今ふと思ったけど、毎日平和が当たり前のようだったけど本当は

 いつ何が起きてもおかしくない。

 何もない日常って実は結構いいものなんじゃないかな」

 一ノ瀬「まあ、俺も逃げろなんて言われた時すげー全力で走ったよ。

 正直すごく怖かったな。何もなくて本当良かったよ」

 大里「私の勘違いでみんなに迷惑をかけて申し訳ない」

 優子「もういいですよ。私も何事もなくて良かったと思います」

 一ノ瀬「じゃあ戻りますか、その何事もなかった日常に!」

    一同非常口のライトと開かない扉を見つめた後、振り返る。

   夏紀が銃を向けている。

 夏紀「全員動くな、動くと撃つ」

    一同、騒然とする。

森田「…え?」

   夏紀、小型の無線機に向かって

 夏紀「こちらA。非常口は予定通り封鎖。逃げた人質5人もうまく確保した」

 一ノ瀬「なななんで店員さんが…」

夏紀「これからあなた方は政府との交渉に利用される」

 大里「まさかあの爆弾は、本物?」

 夏紀「(大里を見て)あなたが、我々の仕掛けた爆弾を目撃して

 近くの4人と逃げ出した時は焦ったが隙を見つけてうまく確保できた」

 しずえ「主人が言ってた事は本当…だった」

 夏紀「そうだ」

 森田「じゃあ、非常口が開かなかったのは…」

 夏紀「最初に私が触った時開かないよう、細工を施した」

 一ノ瀬「…マジかよ…」

 夏紀「質問は終わりか?なら行くぞ。他の人質も待っているからな」

   一同絶望する。

 夏紀「さっき平和がいいとか言ってたな」

    夏紀にやりと笑う。

 夏紀「ようこそ、非日常へ」

   非常口のライトがチカチカと点滅している。